現代最強のホラー映画「へレディタリー/継承」の謎を徹底解説!【ネタバレあり】

hereditary/継承 映画
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注意・この解説はネタバレを含む内容となっています。
ネタバレを避けたい方は以下の記事がオススメです。
「へレディタリー / 継承 」が怖い3つの理由 !ネタバレなしの見どころ解説
K ホラーマイスターの僕は なかなか恐怖を感じることがないのですが、 この映画は久しぶりに驚愕した一本でした。 観賞後のツイートによるホットな感想はこちら 2021年31本目「ヘレディタリー 継承」...

観賞後のツイートによるホットな感想はこちら

今回紹介する映画:へレディタリー/継承

へレディタリー/継承
2018年製作/127分/PG12/アメリカ
監督:アリ・アスター
原題:HEREDITARY

へレディタリー徹底解説

悪魔ペイモンを崇拝するカルトによって
崩壊する家族の悲劇を描いたこの作品、
「Hereditary へレディタリー」という単語が持つ
「先祖代々の~」や「世襲の~」の意味の通り、
元々は、グラハム家の祖母であるエレンが
ペイモンを崇拝している王妃の血筋であるがために
アニーの子供、チャーリー、そしてピーターに災難が降りかかります。

継承するものとは?

ペイモンが求めるものは、王妃の血筋である男性で、
アニーの夫であるスティーブでも、娘のチャーリーでもありません。
その真の標的は、息子であるピーター。

エレンは過去に血筋であるアニーの兄、チャールズを利用して
ペイモンを召喚しようと試みますが、彼が首吊り自殺をしたため、未遂に終わります。
そんな彼が残した遺書には「母さんは僕の中に何かを招き入れようとした」という記載がありました。

そんな過去があり、アニーの息子、ピーターの誕生は
エレンにとっては願ってもないチャンス。
しかし、アニーは母エレンがみんなを操ろうとするため、
不干渉のルールを決めてピーターとエレンを近づけないようにしました。
なので、エレンは容易に手を出せなかったのです。

チャーリーの秘密

そんな不干渉ルールの犠牲になったのが、アニーの娘・チャーリー。
ピーターの代わりに彼女をエレンに差し出したのですが、
エレンはチャーリーにずっと「男の子になって欲しい」と言い続けていました。
もしチャーリーが男の子であったのなら、ペイモンを召喚する条件に当てはまるようになるからです。

しかし、そんなチャーリーにも実は秘密がありました。
生まれた時でさえ、泣かなかった彼女。
実際にはあり得ないことですよね?

その理由はなんと、生まれた時からチャーリーにはペイモンが憑依していた、ということなのです。
召喚は無理でも、憑依はできるみたい。
学校で窓に激突してきた鳥の首をハサミで切るという異常な行動にも納得がいきます。
さらに、彼女の印象深い特徴である「舌を鳴らすクセ」。
これもペイモンが憑依していることを表す仕草です。
その証拠に、物語後半、ピーターにペイモンが宿った後、
ピーターも同じ音を鳴らしているのです。
学校でピーターが頭を打ち付けていた時も、この音が鳴っています。

トラウマ級の衝撃シーン

この作品のトラウマ級に衝撃的なシーンといえば、
チャーリーに降りかかる壮絶な結末。
あるパーティーに誘われたピーターは、
お母さんのアニーに学校行事があると嘘をついて参加の許可を得ようとします。
そこでアニーは、行くことを許可する代わりに妹のチャーリーも連れて行くよう言います。
渋々納得したピーターは、チャーリーと共にパーティーへ。

パーティーではピーターが気になっている女の子も参加していて、
ピーターはチャーリーをケーキをもらっておいで、と会場内に置いて
彼女と仲良くなろうとするのに必死です。

一方、チャーリーは無事ケーキをもらえて食べていたのですが、
なんとそのケーキにはチャーリーがアレルギーを持っているナッツ入りのもの!
次第に呼吸困難を起こし、ピーターは急いでチャーリーを連れてパーティーを後にしました。

焦るピーター。車の速度をどんどん上げていきます。
チャーリーは息苦しさに耐えきれず、後部座席の窓から身を乗り出します・
それに気を取られピーターは一瞬視線を前方から外した瞬間、
道路のど真ん中には牛かヤギのような動物が!
とっさにハンドルを切り、車は車道を外れ、電柱のすぐ横を通り過ぎ、停止。
何かがぶつかったような、そんな音と共に。

停車した後、しばらく呆然としているピーター。
後部座席で何が起こったのか、今自分が想像している最悪の結末を否定するかのように
「大丈夫だ…」と自分に言い聞かせて、車を再び走らせます。

家路につき、一人家に戻るピーター。
そのまま自分の部屋のベッドに横たわります。
両親も、帰宅した音を聞いて安心します。

そのまま翌朝。
アニーが街へ画材の買い出しに行くみたいです。
車のドアが開く音、その後の悲痛な泣き叫ぶ声。
そして、置き忘れられたチャーリーの一部に虫が群がっているシーンで
ピーターが認めたくなかった最悪の悲劇が目の当たりになります。

ついコト細く書いてしまいましたが
本当に衝撃的で記憶に残るシーンです。

頭では分かっていても、自分の目で確かめられないピーターの気持ちも分かりますし
お母さんの悲痛な叫び声も非常に心にクるんですが、
実はこの事故でさえもペイモンが関係していると分かった時は本当に背筋が凍りました。

その根拠は、パーティーへの行き道で意味深に映し出される一本の電柱。
そこには、ペイモンの紋章が刻み込まれているのです。

家族がバラバラになっていく

チャーリーを亡くした後の家族の絆は脆くなっていきます。
それが顕著に現れるのが、ピーターと母・アニー、父スティーブンとの夕食シーンです。

そこではアニーの鬱憤が爆発します。
史上最悪の空気の食事シーンと言っても過言ではないほど、
気まずい空気の流れる息苦しいシーンでした。

アニーに近づくジョーンという女性

エレン、そしてチャーリーを亡くした後、
アニーは映画に行くとウソをついて、グループカウンセリングに度々参加していました。
ある時その入り口で出会ったのが、孫を亡くしたという女性・ジョーン。
ピーターとの関係がますます悪化した後、アニーはそのジョーンの元を訪ねることになるのですが、
ジョーンが唐突に見せたのは、霊と会話できるという降霊会でした。
ジョーンは降霊を成功させ、孫と交信をします。
その様子を目の当たりにしたアニーは、半信半疑のまま帰宅。

スティーブンとピーターを参加させて、ジョーンからもらった呪文で、
チャーリーを呼び出してしまうのでした。
後から分かることですが、実はジョーンはエレンをクイーンとする
ペイモンを崇拝するカルトの側近的存在だったのです。
傷心のアニーにつけ込んで、チャーリーの魂に宿るペイモンを呼び出すために
降霊会を実践するよう仕向ける
のでした。

そして崩壊へ…

降霊が成功してしまった後、グラハム家の崩壊は拍車をかけて進んでいきます。
アニーは邪悪な存在に感じ、チャーリーのスケッチブックを燃やすと自分が燃えることに気付いて
この負の連鎖を断ち切るために自ら犠牲となる決断をしてスティーブンにスケッチブックを燃やすよう頼みますが
スケッチブックが暖炉に入った瞬間、火柱をあげて燃え上がったのは、なんとスティーブンでした。

正気を失ったアニーも、邪悪なものに乗っ取られ、壁や天井を這い、ピーターを追い詰めます。
そして、屋根裏で宙に浮きながら自らの首を切り取ろうとしている衝撃的な姿
ピーターは恐怖に打ちのめされて、窓から飛び降ります。

ついにペイモン降臨の時がやってくる

窓から飛び降りたピーターに白い光のようなものが入り込んでいきます。
そして浮遊したピーターの身体は、チャーリーがよくいた離れのツリーハウスに吸い込まれていきます。
周りの木々の影には、全裸の男女がたたずんでいました。
小屋の中でも、全裸の男女たち。
彼らはペイモン教の信者たちです。
神を崇めるように首を垂れて土下座しているのは、
頭を無くしたエレンとアニーの死体でした

そしてペイモンとして崇められるピーター。
ペイモンの誕生です。

冒頭から示されていた結末のヒント

冒頭では、アニーの制作するドールハウスがクローズアップされ、
ピーターの部屋に切り替わります。
これこそ何者かによって手のひらで踊らされている
グラハム家の運命を示していて、ピーターの部屋が最初に映るのも
その何者かが狙うものがピーターであるというのも示されています。

「へレディタリー/継承」のまとめ

ラストはペイモンが降臨という最悪のバッドエンドを迎えていく本作。
ホラーとしてしっかりと描く部分と、見せないけれど裏側で蠢いている闇、
観る者の不安を煽る演出と近年ホラーの最高峰ともいえる作品です。

「へレディタリー/継承」はどこで観れる?

予告編はこちらをチェック!

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