心の琴線に触れる上質映画。ビューティフル・デイ【あらすじと感想・見どころ】

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台詞での説明を極力排して、映像表現と音楽で観る者の感性を揺さぶる。
この映画を観て何を感じるかは、あなた次第。
決して大衆向けではない映画ですが、僕にはこの映画が心の琴線に触れまくりでした。

視聴後のホットな感想をツイートしました。

今回紹介する映画:ビューティフル・デイ

ビューティフル・デイ

ビューティフル・デイ
2017年製作/90分/イギリス
監督:リン・ラムジー
原題:You Were Never Really Here

映画「ビューティフル・デイ」にぴったりな人

  • 芸術的な映画を求めている人
  • ホアキン・フェニックスが気になる人
  • 陰鬱な雰囲気の映画が好きな人

映画「ビューティフル・デイ」あらすじ

元軍人の主人公・ジョーは、母親との2人暮らしで、
裏社会での人捜しを専門に請け負い、一方で殺し屋の顔を持つ。
幼少期の父親からの虐待や、FBI時代に目撃した人身売買など、
過去の過酷な体験によるPTSDに日常的に苛まれている彼は、
自殺願望を抱えながら、幽霊のように生きていた。

そんな彼の元に、ある政治家の娘・ニーナを捜して欲しいと依頼が舞い込む。
この依頼をきっかけに、物語は坂道を転がる石のように急展開していく…

映画「ビューティフル・デイ」キャストについて

ジョー:ホアキン・フェニックス

「JOKER」での怪演も記憶に新しい、ホアキン・フェニックスが主人公のジョーを演じています。
なんと撮影の2週間前から現場入りして、監督との擦り合わせを行い、
また、役に合わせて筋肉はありながらも、たるんでしまった疲れた中年男性をイメージして肉体改造をしたのだとか。
本当に役者さんってスゴいですよね。

ニーナ:エカテリーナ・サムソノフ

リン・ラムジー監督とホアキン・フェニックスが一緒にオーディションをし、
子役の中でもとりわけ純真無垢なイメージだった彼女が選ばれました。
ホアキンとのセリフ読みの際も、彼のアドリブに自然に応え、相性もぴったりだったようです。

この映画のここがスゴい!

アクションのないアクション映画

「中年男が囚われた少女を救い出す」
これだけを聞くと「レオン」や「タクシードライバー」のような映画を
連想させますが、この映画はそのどれにも似つかない独特の世界観を持ちます。

例えば、少女を救い出すアクションの見せ場的なシーンでは、
直接的な暴力シーンが映し出されない演出。
クライム・サスペンス映画では、暴力的シーンにフォーカスして
取り上げられがちですが、この映画の本質は抉るような内面の描写でした。

映像と音楽が紡ぐ内面的心情表現

冒頭で、極力台詞を排した映画であることはお伝えしましたが、
この映画はそれ以外の表現で痛い程の内面描写や心情を観る者に突きつけます。
まずは映像表現。陰鬱な世界観でありながら映像が映す色彩は、
決して暗いばかりでなく、どこか哀愁を漂わせながらもビビッドな印象を受けます。

また、ジョーが抱えるトラウマや、自殺願望が断片的に映し出され、
台詞が少ないながらも、その映像からジョーの心情や、苦しみが感じ取れます。

その心理描写に拍車をかけるのが、世界的ロックバンド・レディオヘッドのギタリスト、
ジョニー・グリーンウッドが手がける音楽表現。
映像からのインスピレーションで次々と制作されたというそのサウンドは、
ノイジーでメタリック、エレクトロと要所要所で印象的です。
「音楽自体が作品キャラクターの一人になった」とリン・ラムジー監督が語るほど、
この映画の音楽は重要なものとなっています。

原題タイトルこそが全てを語る

邦題は「ビューティフル・デイ」。
ホアキン・フェニックス演じる主人公・ジョーが救い出す
感情の欠落した少女・ニーナの台詞からの引用でとても耳に残るものですが、
原題は「You Were Never Really Here(初めからお前は存在しなかった)」

このタイトルで、この映画の解釈は無数にも広がります。
幼少期のトラウマ、過去に囚われている主人公たちを表しているのか、
幽霊のように生きるジョーを示しているのか、
はたまたこの物語自体が虚構であるのか…

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映画「ビューティフル・デイ」まとめ

リン・ラムジー監督の斬新な手法、実力俳優ホアキン・フェニックスの怪演、ジョニー・グリーンウッドの先鋭な音楽が見事にかけ合わさった衝撃の芸術作品。
娯楽的に映画を鑑賞する場合には不向きですが、映像芸術に触れる意味では、とても素晴らしい体験でした。

まずは予告編をチェック!

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